【貸借対照表】「資本の部」から「純資産の部」に変更された理由

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「資本の部」から「純資産の部」へ

会社の試算表を見ると、借方(左側)には資産と費用が、貸方(右側)には負債と純資産と収益が記載されています。

そして、費用と収益は損益計算書に、資産と負債と純資産は貸借対照表に記載されることになります。

貸借対照表には、資産、負債、資本が記載されていましたが、会社法の施行に伴い、資本は純資産に名称が変更されました。

「純資産の部」に変更された理由

「純資産の部」に変更された理由は、試算表の貸方(右側)に記載される項目のなかには、負債、資本、収益のいずれにも該当しないものが出てきたからです。

代表的なものとして、新株予約権が挙げられます。

新株予約権とは、株式会社に対して行使することによりその株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいい、従業員等に対していわゆるストック・オプションを付与する形で利用されているものです。

従業員等に、会社の株式をあらかじめ決めた一定の価格で購入する権利を与え、株価が上がったら権利を行使し、それを売却することで利益が得られるというインセンティブプランとして、従業員等の意欲を引き出すために新株予約権は利用されています。

試算表の貸方に記載される新株予約権は、返済義務がないので負債ではありません。

また、株主からの出資や留保利益ではないので資本にも該当しません。

さらに、会社の売上ではないので収益にも該当しません。

このような、負債、資本、収益のいずれにも該当しない新株予約権などの項目は、貸借対照表において、これまで資本とされてきた項目とあわせて、新たな名称の純資産として記載されることになったのです。

(注)これまで資本とされてきた項目には、株主が払い込んだ金額を示す資本金及び資本剰余金と、会社がこれまでに稼いで蓄積された利益を示す利益剰余金が該当します。

つまり、これまで資本とされてきた項目に、資本とは言い難い曖昧な項目をあわせて記載しなければならないこととなったため、名称が資本から純資産に変更されたのです。

なお、資本の部から純資産の部に名称が変更されたときのように、会計基準などに変更があった場合の最新情報は、会計法規集で知ることができます。