無形固定資産の記帳方法に、間接法が認められていない理由

減価償却が必要な、有形固定資産と無形固定資産の、記帳(仕訳)方法

有形固定資産の記帳(仕訳)方法として、直接法と間接法の2つが認められています。

これに対し、無形固定資産の記帳方法としては、直接法しか認められていません。

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無形固定資産の記帳方法に、間接法が認められていない理由

理由は、有形固定資産と無形固定資産の特徴(性質)の違いにあります。

有形固定資産は、使用した後、同じような有形固定資産を再び購入して事業活動に使用していくのが一般的です。

そのため、その有形固定資産をいくらで買ってきたかが分かるように仕訳をする必要があります。

間接法によれば、減価償却累計額を使って仕訳するので、その有形固定資産をいくらで買ってきたか、つまり、取得原価が常に分かるのです。

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例えば、事業のために使用する車を購入しても、間接法で仕訳をしていれば、常に取得原価が分かるため、買い替えにどのくらいの資金(取得原価)が必要なのかを常に把握できて、買い替え時期に備えられるからです。

これに対し、無形固定資産(借地権・特許権・のれん・ソフトウエア等)は、使用した後、同じような無形固定資産を再び購入して事業活動に使用することはほとんどありません。

そのため、取得原価が常に分かるようにしなくても問題はなく、間接法を用いる必要がないのです。

余談ですが、土地は有形固定資産ですが、減価償却は行いません。

なぜなら、土地は使用しても価値が減少しないからです。

したがって、土地を取得したら、取得時に取得原価で仕訳をするだけとなります(期末に減価償却は行いません)。

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