【簿記】「資本金」と「引出金」の違い

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問題

土地と建物に対する固定資産税100,000円の納税通知書を受け取り、当座預金の口座振替により納付した。このうち、事業用の割合は60%であり、店主用の割合は40%(引出金勘定を使用)である。

解答

引出金の仕訳

解説

事業用(お店用)として使用している土地や建物に係る固定資産税60,000円(100,000円×60%)は、お店の経費としての性格を持つものであるため、租税公課(費用)で仕訳します。

店主用(私用)として使用している土地や建物に係る固定資産税40,000円(100,000円×40%)は、本来、店主個人のお金(お財布)から支払い、仕訳はしません。

しかし、この40,000円をお店のお金で支払った場合には、お店の元手である資本金が減少したと考えて、仕訳が必要になります。

この場合、資本金を直接減らす仕訳方法と、引出金という特別な勘定科目を使う仕訳方法があります。

この問題では、指示により、引出金で仕訳します。

なお、引出金は、資本金の減少を意味し、資本金の代わりに一時的に用いる勘定科目であり、資産・負債・純資産・収益・費用のいずれにも該当しません。

したがって、引出金は、貸借対照表にも損益計算書にも計上することができません。

そのため、期末において、引出金に残高がある場合には、資本金に振り替える仕訳が必要になります。

この問題の引出金40,000円を、期末において、資本金に振り替える仕訳は、下記のとおりになります。

資本金と引出金の仕訳

資本金の代わりに引出金を用いる理由について、

資本金の金額は、税金の申告や銀行からお金を借りる時などに記載が必要で、お店の規模を示す非常に重要なものです。

したがって、その重要な資本金について、期中に頻繁に増減があることは、あまり好ましいことではありません。

この資本金の頻繁な増減を防ぐために、引出金が用いられます。

貸付金を他人振出小切手で回収し、直ちに当座預金に預け入れた仕訳

これにより、期末において、引出金を資本金の振り替える仕訳をすることで、資本金の増減回数を最小限に抑えることができます。

なお、資本金を直接減らす仕訳方法に関する問題は、事業用と私用の固定資産税を支払った場合の仕訳にまとめてありますので、よろしければご覧下さい。

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