【重要な後発事象の注記の具体例】上場企業の注記の具体例

重要な後発事象

後発事象とは、貸借対照表日後(期末後)に発生した事象、例えば、火災・出水等による重大な損害の発生や主要な取引先の倒産などで、次期以後の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすものをいいます。

重要な後発事象は、「期末後、財務諸表作成日までに、火災等で重大な損害が発生した場合」の記事でもご説明しましたが、当該企業の将来の財政状態及び経営成績を理解するための補足情報として有用であるため、財務諸表に注記しなければなりません。

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重要な後発事象の注記、上場企業の具体例

重要な後発事象の注記の具体例として、NTT(日本電信電話株式会社)が2023年8月9日(水)に公表した、2023年度 第1四半期決算短信に記載されていたものをご紹介します。

決算短信とは、東京証券取引所などに上場している企業(上場企業)が、証券取引所の適時開示ルールに則り決算発表時に作成・提出する、共通形式の決算速報です。

上場企業は、年4回の四半期決算ごとに、決算短信を公表します。

ちなみに、NTTの場合、NTT公式サイトのメールニュースのページに、ご自身のメールアドレスを「メールニュースに登録」しておくと、決算発表等に関するニュースリリースがメールで届きます。

財務諸表の勉強をされている方は、決算短信等を見るだけでも勉強になると思います。

NTTの、2023年度 第1四半期決算短信に記載されている重要な後発事象の注記は、下記のとおりになります。

◯重要な後発事象◯

【株式分割】

当社は、2023年5月12日開催の取締役会決議に基づき、2023年7月1日を効力発生日として、基準日である2023年6月30日の株主の保有する株式を1株につき25株の割合をもって株式分割を実施しています。なお、当該株式分割に伴 い、要約四半期連結財務諸表で表示される前第1四半期連結累計期間及び当第1四半期連結累計期間の1株当たり情報 について、株式分割調整後の数値を表示しています。

【無担保社債(グリーンボンド)の発行】

2023年7月21日に当社グループは、国内市場において発行総額3,800億円の無担保社債(グリーンボンド)を発行しました。

【再生可能エネルギー発電事業者グリーンパワーインベストメント社等の株式取得等の完了】

NTTアノードエナジー株式会社(以下、「NTTアノードエナジー」)と株式会社JERAは、2023年5月18日付で締結し た株式売買契約に基づき、2023年8月3日に米国の再生可能エネルギー事業者Pattern Energy Group LPが保有する株 式会社グリーンパワーインベストメント(以下、「GPI」)の株式の取得等を完了し、GPIはNTTアノードエナジーの 子会社となりました。取得対価は2,560億円であり、対価は現金です。なお、現時点において当該企業結合の当初の
会計処理が完了していないため、詳細な情報は開示していません。

【当社の自己株式の取得に係る決議】

2023年8月9日、当社の取締役会は、2023年8月10日から2024年3月29日における、発行済普通株式総数14億株、取得総額200,000百万円の自己株式の取得枠に係る決議をしました。

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