交際費が、費用として認められない?
会社の経営成績(どれだけの利益を出したのか)を示す「損益計算書」では、取引先と飲食代、いわゆる交際費は、販売費及び一般管理費の区分に記載されます。
取引先との飲食は、売上に直接的には関係ないものの、懇親を深め、販売などの取引を円滑にするための大事な行為です。
したがって、交際費は、販売費及び一般管理費の区分に記載することとされています。
ただし、交際費は、会計上は収益に対して利益を減らす取引という意味の費用とはなっても、税金の計算では費用として認められないことがあります。
会社の税金である法人税の計算では、費用とは言わず、損したお金と書いて損金という言い方をしますが、交際費のうち基本的に50%は損金として認められません。
そのぶん、利益も増えて、税金も増えることになります。
なぜ、50%しか交際費を認めないのかというと、「税金を払うくらいなら交際費で使っちゃえ」と考える人がいると困るからです。
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会計と税法で、処理方法が異なる理由
株式会社の場合、会社の所有者は株主です。
会計というのは、株式会社の目的の一つでもある、会社の実質的な所有者である株主に配当金を支払うため、正しく利益を計算することが大切です。
これに対し、法人税というのは、いかにして税金を取るかという観点から計算されるため、会計と税法は計算の目的が全く異なります。
なお、法人税では、交際費が基本的に50%しか損金として(会計でいう費用として)認められないと説明しましたが、認められなかった残りの50%の交際費は、会計ではそのまま費用となります。
税金の計算は、会計とは別の税務申告書で調整されるため、会計(損益計算書)には影響を及ぼさないのです。
このように、会計と税法では、計算の目的が異なるため、処理の方法に差が出ますし、費用と言ったり損金と言ったり言葉の使い方も変わるのです。
会計と税法の処理方法の違いについては、日商簿記2級の試験範囲である課税所得と税効果会計、税理士試験の試験科目である法人税法を勉強すると、理解が深まります。