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棚卸資産の増加額
キャッシュフロー計算書は、現金が当期にどれだけ増減したのかを知るための書類です。
キャッシュフロー計算書(間接法)の「営業活動によるキャッシュフロー」の項目に、「棚卸資産の増加額」というものがあり、なぜ、税引前当期純利益からマイナス(減算)するのか、理解に苦しんでいる方もいらっしゃると思います。
そこで、この記事では、簡単な具体例を用いて、税引前当期純利益から「棚卸資産の増加額」をマイナスすると、現金の当期増加額が算出できる仕組みを確認したいと思います。
具体例
一年間の取引を、下記①②のみとした場合。
(期首の現金残高300円・期首の棚卸資産残高0円)
① 一個100円の商品Aを三個仕入れ、代金300円を現金で支払った。
② 商品Aを一個180円で二個販売し、代金360円を現金で受け取った。
(期末の現金残高360円・期末の棚卸資産残高100円)
解答の手順(1)
まず、当期に現金がいくら増えたのかを確認してみます。
期首にあった現金300円で商品Aを仕入れています。
この時点で現金残高は0円です。
その後、商品Aを販売し現金360円を受け取りましたました。
この時点で現金残高は360円です。
したがって、当期は、現金が60円(期首300円→期末360円)増えたことになります。
解答の手順(2)
次に、期末の棚卸資産残高の確認です。
一個100円の商品Aを三個仕入れたうち、一個が売れ残りました。
したがって、期末の棚卸資産の残高は100円になります。
ここまでのところの確認です。
現金の期首残高 300円
現金の期末残高 360円
現金の当期増加額 60円
棚卸資産の当期増加額 100円
解答の手順(3)
次に、キャッシュフロー計算書(間接法)は、税引前当期純利益から始まりますので、当期の税引前当期純利益を計算してみます。
当期は、一個100円で仕入れた商品Aを、一個180円で二個販売しているため、売上高は360円(180円×2)、売上原価は200円(100円×2)で、税引前当期純利益は160円(360円−200円)になります。
売上高 360円
売上原価 200円
税引前当期純利益 160円
ここまでのところの確認です。
現金の期首残高 300円
現金の期末残高 360円
現金の当期増加額 60円
棚卸資産の当期増加額 100円
税引前当期純利益 160円
解答の手順(4)
キャッシュフロー計算書は、現金が当期に60円増えたことを知るための書類です。
キャッシュフロー計算書(間接法)では、税引前当期純利益160円から棚卸資産の増加額100円をマイナスすれば、現金の増加額60円を知ることができる仕組みになっています。
税引前当期純利益 160円
棚卸資産の増加額 100円
現金の増加額 60円