正しい仕訳の場合
事業主貸と事業主借は、翌年1月1日に、相殺して差額は「元入金」としなければなりません。
例えば、今年1年間で、事業主貸と事業主借の勘定科目を使った仕訳が、下記の①と②しかなかったとします。
【仕訳①】
【仕訳②】
この場合、今年の12月31日(今年の期末)時点の事業主貸と事業主借の残高は、下記のとおりです。
事業主貸が借方に1,000
事業主借が貸方に1,200
そして、翌年1月1日(翌年の期首)に、下記の仕訳③をします。
【仕訳③】
上記の仕訳③をすることにより、今年12月31日時点にあった事業主借1,200と事業主貸1,000は、ゼロになります。
今年の12月31日時点で、事業主貸が借方に1,000ありましたが、翌年1月1日に仕訳③の貸方に事業主貸1,000の仕訳をしましたので、事業主貸の残高がゼロになりました。
今年の12月31日時点で、事業主借が貸方に1,200ありましたが、翌年1月1日に仕訳③の借方に事業主借1,200の仕訳をしましたので、事業主借の残高がゼロになりました。
そして、仕訳③をしたことで、元入金が貸方に200残ります。
結果、翌年1月1日時点では、事業主貸と事業主借の残高はゼロ、元入金は今年以前から繰り越された(蓄積された)残高に仕訳③の元入金200が加算されます。
ここまでが正しい仕訳です。
「事業主貸」の仕訳を、間違えて「事業主借」にした場合
例えば、今年1年間で、事業主貸と事業主借の勘定科目を使った仕訳が、下記の④と⑤しかなかったとします。
【仕訳④】
仕訳④は、仕訳①と全く同じです(金額も同じです)。
【仕訳⑤】
仕訳⑤は、仕訳②と全く同じとすべきところを、わざと間違えて、貸方は事業主借1,200とすべきところを、事業主貸1,200としました(金額は同じです)。
この場合、今年の12月31日(今年の期末)時点の事業主貸と事業主借の残高は、下記のとおりです。
事業主貸が貸方に200(仕訳④の借方の事業主貸1,000と、仕訳⑤の貸方の事業主貸1,200が、相殺されて、事業主貸が貸方に200となります)
事業主借はゼロ(事業主借の勘定科目を使わなかったためゼロとなります)
そして、翌年1月1日(翌年の期首)に、下記の仕訳⑥をします。
【仕訳⑥】
上記の仕訳⑥をすることにより、今年12月31日時点にあった事業主貸200は、ゼロになります(事業主借の勘定科目を使わなかったためゼロ)。
今年の12月31日時点で、事業主貸が貸方に200ありましたが、翌年1月1日に仕訳⑥の借方に事業主貸200の仕訳をしましたので、事業主貸の残高がゼロになりました(事業主借はゼロ)。
そして、仕訳⑥をしたことで、元入金が貸方に200残ります。
結果、翌年1月1日時点では、事業主貸と事業主借の残高はゼロ、元入金は今年以前から繰り越された(蓄積された)残高に仕訳⑥の元入金200が加算されます。
正しい仕訳①②③をした場合も、間違えた仕訳④⑤⑥をした場合も、どちらも、翌年1月1日時点では、事業主貸と事業主借の残高はゼロ、元入金が貸方に200残り、全く同じ結果になりました。
したがって、「事業主貸」の仕訳を、間違えて「事業主借」にしてしまっても、大丈夫です。問題ありません。
反対に、「事業主借」の仕訳を、間違えて「事業主貸」にしてしまっても、大丈夫です。問題ありません。